サッカーでは、よく『判断』という言葉が使われるが、考えてみると、『判断』も年齢や技術や性格によっても、様々な『判断』が表れる。もちろん状況判断という点では、何が一番正しい判断かは、指導者立場でいけば正解を見つけることはたやすいが、年齢の違う子どもによっては、技術が違えば判断も違うし、性格によっても判断が違ってくるだろう。 ライセンス取得の時の実技のことを思い出す。あるプロの方がゲームの最中にディフェンスの仕方で、インストラクターから指導のアドバイスを受けた時のことである。その選手はインストラクターに異議を訴えたのである。周りはみんなプロの連中である、インストラクターの言うことに異を唱えるのは、ライセンス取得の際の採点に響かないかと、周囲は気にしながらドキドキしていた。 つまり、ディフェンス側のアタッキングのタイミングだ。ディフェンスの原則に沿えばディレイ(遅らせる)することが正しいのかもしれないが、プロでの試合経験がある彼は違った。『思い切って当たった方がいい。』そう彼は言った。理由はこうだ。『このサイドでディレイすると、サポートの時間を与えてしまう。それよりは素早く当たり、もちろんサポートも素早く寄ることだ。』というのである。彼の言葉に、実践で身につけた力強さを感じた。インストラクターはあくまでも原則に沿った、アドバイスだろう。しかし、このライセンス取得のための実技とはいっても、真剣勝負であるから、置かれた状況では、そうでないこともあるだろう。 最近低学年を見ていて、確かに『正しい判断』という正解はあるかもしれないが、低学年であれば、その個人差も大きく、『正しい判断』に近づくために『間違った判断』も認めてあげたほうがいいと思うようになった。そこから、どうやって『正しい判断』に近づいていくのか?そのアプローチの過程がレベルアップにつながるのだろう。小さい子どもたちは、とにかくボールを離さない。