サッカークリニック7月号に『ドリブラーの育て方&活かし方』川端暁彦 という記事があった。三苫薫のドリブルの2024-2025シーズンでの「変わった」という内容である。プレミアリーグのブライトンでは、世界的なドリブラーとしておそれられる存在になった三苫は、味方のポゼッションプレーから左サイドでパスを受けた場合、中と外の両方を切られる。そういう場面が、頻出するようになっている。いわゆるダブルマークのターゲットになっているわけだ。そうなると、ドリブルにトライしても、成功する可能性は低く、自ずと、違う道を探ることが増える。その中でタッチ数を少なくしつつ、ゴール前に入り、得点を奪うようなプレーが増えている(記事より) この記事の中に、実はわれわれ指導者が感じていることを言い当てている文がある。紹介しよう。
日本でありがちなドリブラーとしては、リフティングが上手でキックが下手な選手が多い。「抜くまでは良いんだけど・・・」と言われがちで、シュートやクロスボールはあさっての方角に飛んでいく。この手の選手は、「数字を残せないタイプ」なので、上のレベルへ行くほど、淘汰されることになる。上のレベルに行くほど厳しくなる。もう一つのタイプは、アスリート能力を欠く選手。スピードがない。走れないタイプは、トップレベルで活躍するのが、ますます難しくなっている。(中略) 一方で、早い選手はうまくならないというちょっと矛盾した傾向もある。速さに頼るあまりに、ドリブルの技術や駆け引きに関する成長度が落ちてしまうからだ。いわゆる早熟の選手が、この傾向に陥りやすい。スピードを誇るタレントが、中学年代から、もっぱらウイングとして器用された結果、高校以降の年代においては、試合を決めるプラスアルファのクオリティーが出せなくなってしまっというケースをよく見てきた。逆に、大成するのは、同年代では相対的に速くなかった選手があとで速くなったというケースが多い。そもそも速くないので,サイドのポジションではなく、真ん中で使われる期間が長くなり、その結果、技術的な多様性を自然に獲得。身体的成長に伴って,速さがつくことにより、スペシャルな選手が誕生するのである。(サッカークリニック7月号P8~P9)
サッカーの本質に必要なドリブル、キック、スピード、そしてアスリート能力、すべての要素がバランスよく成長するように指導することで、その中から個性にそって、特に秀でた武器を持つことになる。幼少期の指導は、バランスよく指導することが大切である。